ルール掲示板 747266


安全進塁権とリタッチ

1:ノボル :

2019/05/07 (Tue) 09:18:16

host:*.nttpc.ne.jp
こんにちはノボルです。よろしくお願いします。

学童四年生以下の試合での出来事です。
一死で、走者は二塁、三塁
打者が、スクイズしました。
打球は、ハーフフライで投手が、捕球、
三塁走者はホームベースに滑り込んで本塁に到達
投手から三塁に送球してダブルプレー成立しました。

質問は、この時投手から三塁への送球が悪送球になり
デッドゾーンに入った場合、各走者に安全進塁権が
与えられますが、その時各走者にリタッチの義務があるのか?と、
ふと不安になりました。

ノボルは、リタッチの義務はない派ですが、根拠があやふやで
とても説明出来るレベルではありません。

とは、言え今後起こり得る可能性のあるプレーだと思いますので、
小川様のご見解をご教示いただきたくよろしくお願い致します。



2:お父さん審判 :

2019/05/07 (Tue) 18:40:18

host:*.hyogo.lg.jp
ノボル様

小川様のご見解の前に、わたくしが経験した事例を共有させてください。

ノーアウトランナー3塁、打球はレフトフライでしたが、ランナーはタッチアップを
知らない子だったので、ホームへ走っていきました。ベンチからの「戻れ」の声で3塁に
戻ろうとしたときに、レフトはフライを取って3塁に悪送球し、そのままボールはデッドラインを
越えました(似たような例かと思います)。再び、ベンチからの指示でホームに行けと言われ、
3塁に触塁しないままホームインをしてしまいました。

その後インプレーになったところで、アピールプレイがあり、私はちょうど3塁塁審でしたので
アウトのコールをし、得点を認めませんでした。当然抗議があったのですが、「悪送球になっても
リタッチの義務はなくならない。ホームランの時に塁の空過があった場合、アウトになる。
ケースは同じではないですが、考え方としては同じだ。」と説明したら納得しいていただきました。

5.09(b)(5)に「フェア飛球、ファウル飛球が正規に捕えられた後、走者が帰塁するまでに、
野手に身体またはその塁にタッチされた場合」は、アウトとあります。

6.06(b)(4)の安全進塁権のところには、安全進塁権を与えられたらリタッチの義務は
なくなるとは書かれていません。書かれていない以上、リタッチの義務は残っているという
理論です。

ノボル様、小川様いかがでしょうか。
3:審判部 小川 :

2019/05/07 (Tue) 23:42:26

host:*.zaq.ne.jp
こんにちは 審判部の小川です。

「安全進塁権とリタッチ」は非常にややこしい規則です。

ノボルさんの事例について

>三塁走者はホームベースに滑り込んで本塁に到達
投手から三塁に送球してダブルプレー成立しました。

本来 投手から三塁に送球する行為は「アピールプレイ」に値します。
つまり 三塁手はボールを持って塁に触塁し、リタッチをしていない事を「アピール」する必要が有りますが
今回の所はその事はさて置き、

>ノボルは、リタッチの義務はない派ですが、

ノボルさん「アピールプレイ」ですよ。

規則5.09c

【注2】 投手または野手のアピールのための送球がボールデッドの個所に入った場合
それはプレイの企てとみなされ、アピール権は消滅する。
したがって、その後、いずれの塁、いずれの走者に対するアピールは許されない。

となります。
したがって「アピール権は消滅」です。
なので「リタッチの義務」はありません。

お父さん審判さんの事例について

>ベンチからの「戻れ」の声で3塁に
戻ろうとしたときに、レフトはフライを取って3塁に悪送球し、そのままボールはデッドラインを
越えました(似たような例かと思います)。再び、ベンチからの指示でホームに行けと言われ、
3塁に触塁しないままホームインをしてしまいました。

走者は3塁に帰塁しようとしていますので、このプレイは「アピールプレイ」ではありません。(タイムプレイ)
なのでボールデッド後も「アピール権は存続」しています。プレイ再開後 「3塁でアピール」すれば
アウトになります。

監督への説明は

「レフトによる悪送球は、打球処理直後に生じた一連のプレイの一部であり、プレイがとまった後のアピール
を無効にするものではありません。」

安全進塁権時のリタッチに関して

規則5.09c(2)

【規則説明】塁を空過した走者は、

(A) 後位の走者が得点してしまえば、その空過した塁を踏み直すことは許されない。
(B) ボールデッドのもとでは、空過した塁の次の塁に達すれば、その空過した塁を踏み直すことは許されない。

例 — 打者が遊撃手にゴロを打ち、遊撃手はスタンドに飛び込む悪送球をした(ボールデッド)。
打者は一塁を空過したが悪送球によって二塁が与えられた。打者走者は、審判員によって二塁が与えられても、
二塁に進む前に一塁に触れなければならない。

【注4】本項〔規則説明〕は、飛球が捕らえられたときのリタッチが早かった走者にも適用される。

となります。
なので「悪送球によるボールデッド時であっても、リタッチの義務は生じます。」
これは状況が「タイムプレイ」だからです。

結果は、お二人共 正解 です。

但し 内容は「アピールプレイ」と「タイムプレイ」なので状況の認識が重要です。
規則の適用も変わります。

この件については、アマチュア規則委員会でも過去に議論を重ね、現在に至った経緯があります。

* ちょっと紐解くと1994年度 規則改正で

①まず大前提として,アピールプレイの定義(規則2.02)の原文に対する解釈の再検討を行い,
 アピールプレイとはあくまで「攻撃側チームの,規則に違反した行為を守備側チームが正すプレイ」を
 指していることを確認する。
②規則7.08dで使用されている「リタッチ」という言葉の語意の検討を定義(規則2.65)の原文を中心として行い,
 関連する項目についても原文再読検証を行った結果,リタッチとは「走者が規則によって帰塁しなければならない
 塁へ帰塁する行為」をいい,そのその行為には〈1〉「走者が戻りつつある行為」と
 〈2〉すでに戻ってしまっていて,次塁へ進もうとしている行為」の二つの行動があることを確認,
 と同時に,当項目7.08dで使用している「リタッチ」とは前者〈1〉の行動を指しているものであるとの結論を得る。
(中段略)
「アピールプレイ」とは「あくまで攻撃側のプレイヤーが規則違反をした行為を正すプレイ」をいう。
したがって,飛球が捕らえられた後,元の塁へ一生懸命に走って帰っていこうとする走者の行動は,
規則どおりのプレイを続けている行動で,その走者をアウトにしようとして送球するプレイを
アピールプレイとはいわない。これは普通のフィールドプレイ(アメリカではこの言葉を使う場合もある),
名づけて時間差を争う「タイムプレイ」である。
 走者が全く戻ろうとしないとき,あるいは戻る意思があっても戻ることを放棄した場合は
「アピールプレイ」になるということです。

* 過去には日米野球でも「日本の審判とアメリカの審判」で以下のやり取りが(抜粋)

アマチュア規則委員のひとり、郷司裕君が1973年の日米大学野球の審判員として渡米したとき
土産話というのは、あちらの試合で飛球が捕えられたので帰塁しようとしたら
1塁走者に対する外野手の送球がスタンドに入ったとき、塁審をつとめていたエメット・アシュフォードが

「1塁走者はリタッチしないで3塁まで進める」 

と主張したが、球審の郷司君は「リタッチの必要がある」と日本流の考え方で通したという体験談だった。
アシュフォードというのは、黒人で初めて大リーグ審判員になったほどの人で、それほどの審判員がいうのだから根拠があっての
ことだろうとは思ったが、

アマチュア規則委員会に席上
アシュフォードは、1塁にリタッチしようとした走者をアウトにしようとした送球がスタンドに入れば、アピール権が消滅するので、
走者はリタッチしないで途中から3塁まで進めることになったと主張したのではないかと大見得をきった。
ところがである。「それはアピールプレイじゃないですよ」と横やりがはいった。

「ランナーは、飛球が捕えられたら塁に帰えらなきゃならないん
ですよ。その帰塁より早く塁にボールがきたらアウトだというのが、
 7.08(d)なんですよ。アピールなんか必要ないんですよ。」

委員会はそれこそ蜂の巣をつついたようになった。

結論(アマチュア委員会としての)-------7.08(d)のルール原文は、前段と後段に分けて読むべきである。
前段は、「飛球が捕えられた後」に、自分の塁に走者が帰塁しようとしているときは、帰塁が早いか、送球が早いか、審判員がジャッジして、
帰塁より送球が早かった場合には、直ちに(アピールプレイを待たないで)アウトが宣告されると読むのが正しい。
後段は、走者がリタッチを果たさなかったとしても(ヒットエンドランか何かで先の塁に進んでしまうか、離塁が捕球より早いか)
投手が次の1球を投げるか、ほかのプレイをしたり、プレイをしようとしたりしてしまえば、走者はアウトになることはない。
なぜなら、こういう場合には、アピールがないとアウトにはできないからであると読むべきである。-------
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

規則の変遷は面白いです。
アマチュア規則委員会は、MLBに合わせ現在の規則としています。
4:ノボル :

2019/05/08 (Wed) 03:13:10

host:*.ocn.ne.jp
こんにちわノボルです。
宜しくお願いいたします。


小川様、詳しくご説明いただきありがとうございます。
7.08(d)・・・旧項番、懐かしいですね。年を感じますが(笑)

状況により、タイムプレーとアピールプレーに分類される・・・
ウチは、ゲッツー取られた攻撃側だったので、もし、デットに送球が入っていたら
既に本塁に到達してるし、戻れるの?
とか色々心配してしましました。
インプレー時なら次の塁(本塁)に到達しても戻れることすら飛んでいました(汗)
大変、勉強になりました。ありがとうございました。


小川様、お父さん審判様、今後も、よろしくお願いいたします。


5:お父さん審判 :

2019/05/08 (Wed) 20:43:25

host:*.au-net.ne.jp
小川様、ノボル様、この度はとても勉強にな
りました。わたくしの例とノボル様の例が異
なることはわかりましたし、私の認識も間違
っていることもわかりました。成長の種をい
ただきありがとうございました。

小川様、最後に一つだけモヤモヤを解決して
ください。お願いします。5.09(b)(5)の最後
の文に、「この場合はアピールプレイであ
る」と書いてありますが、この項で一体何が
アピールプレイだと言っているのかご教示い
ただけますか?

ノボル様のスレでしつこくお聞きして申し訳
ありません。よろしくお願いいたします。
6:ノボル :

2019/05/09 (Thu) 16:04:51

host:*.nttpc.ne.jp
こんにちはノボルです。
よろしくお願いします。

お父さん審判さま、深掘りありがとうございます。
俄然、やる気が出てきましたので、一緒に勉強させて下さいネ

ご指摘の規則文5.09(b)は、今回の事例の様に飛球を捕球した後、走者が飛出していた
状況の時に適用する規則条文です。

小川様の回答にも同様の内容がありますが、その件について
日本野球規則委員だった故西大立目 永氏の解説によるBASEBALL CLINIC
「1994年度改正ルールのポイント早わかり」に記載がありますので
ご紹介します。

「アピールプレイ」とは、あくまで攻撃側のプレイヤーが規則違反をした行為を
正すプレイをいう。従って、飛球が捕えられた後、元の塁へ一生懸命に走って帰って
いこうとする走者の行動は、プレイを続けている行動で、その走者をアウトにしようと
して送球するプレイをアピールプレイとは言わない。
これは普通のフィールドプレイ(アメリカではこの言葉を使う場合もある)、
名付けて時間差を争う「タイムプレイ」である。
これが7.08d項(現5.09(b)項)前段の箇所である。
と、解説されていました。

後段のただし書き以後は、飛球を守備が捕球したのに塁を飛出した走者が、
帰塁しようとしなかった場合は、当然にアピールプレイになります。
小川様が、>ノボルさん「アピールプレイ」ですよ。と教授していただいた部分です。

後段のただし書き以降の部分は、アピール権消滅の時期を指しています
(参考5.09(c)と同じ内容の条文です)
 「ただし、投手が打者への次の1球を投じてしまうか、または、たとえ投球
しなくても、その前にプレイをしたり、プレイを企ててしまえば、帰塁をして
いないという理由によって走者がアウトにされることはない。」
この場合は、アピールプレイである。
そうです、アピールプレーなんです。

お父さん審判さまの事例は、5.09(b)項の「前段」を適用されたので、
プレー再開後にアピール権が残りました。
ノボルの事例では、3塁走者が帰塁しようとしなかったので、後段の
アピールプレー部分を適用されるケースだと理解できます。
もし、悪送球で送球がデットゾーンに入れば、アピール権は消滅し
同一塁、同一走者にはアピールできないので、リタッチの必要はなくなります。

ノボルの認識はこんな感じです
よろしくお願いします。

7:審判部 小川 :

2019/05/10 (Fri) 01:17:20

host:*.zaq.ne.jp
こんにちは 審判部の小川です。

お父さん審判さんへ

>5.09(b)(5)の最後
の文に、「この場合はアピールプレイである」と書いてありますが、この項で一体何が
アピールプレイだと言っているのかご教示いただけますか?

さすが鋭い質問ですね。
私も過去に同様の疑問を持っていました。
お父さん審判さんが納得されるかどうかは分かりませんが、

前段の≪フェア飛球、ファウル飛球が正規に捕えられた後、走者が帰塁するまでに、野手に身体またはその塁に触球さ
れた場合≫というのは、飛球が正規に捕えられた後、走者がリタッチをしようとオリジナルベースに戻ろうとしている
とき、 その走者をアウトにしようと野手が元の塁へ送球を試みるプレイは、ただ単に送球と走者の時間差を争う「タイ
ムプレイ」という解釈に1994年改められました。

1993年まではこれを「アピールプレイ」と呼んでいました。

規則書を読んだだけではどこにも「タイムプレイ」という解釈はでてきません。
ルール改正の経緯を知っていないとちょっと理解できないかもしれません。
審判技術指導員のHさんでもこれは 「アピールプレイ」だとブログに書き込んでたくらいです。

ノボルさんの投稿にあるように

>・・・帰塁をしていないという理由によって走者がアウトにされることはない。
   --------
この部分だけが「この場合はアピールプレイである」に係ります。

「帰塁をしていない」走者に対しては「アピールプレイである」と言うことです。

規則ですから仕方ないのかもしれませんが、審判をする身分の者にとっては何とも理解しがたい文章ではあります。

私なら

「フェア飛球、ファウル飛球が正規に捕らえられた後、走者が帰塁するまでに、野手に身体またはその塁に触球された場合はアウトを宣告する」

もし 帰塁しなかった場合はアピールプレイになる。

ただし、投手が打者へ次の1球を投じてしまうか、または、たとえ投球しなくてもその前にプレイをしたりプレイを企ててしまえば、
アピール権の消滅となるので、帰塁をしていないという理由によって走者がアウトにされることはない。

と言う文章にしますが・・・

ノボルさんへ

>もし、悪送球で送球がデットゾーンに入れば、アピール権は消滅し
同一塁、同一走者にはアピールできないので、リタッチの必要はなくなります。

ではありません。

「いずれの塁、いずれの走者に対するアピールは許されない。」です。
8:ノボル :

2019/05/10 (Fri) 15:31:05

host:*.nttpc.ne.jp
こんにちはノボルです
よろしくお願いします。

小川様、ありがとうございます。
「改正前は、前段もアピールプレーと解釈していた」
と言うことをお話しないとお父さん審判さまの質問の答えに
なっていなかったと気付き、投稿後に反省していたところでした。

小川様のご提案である
>もし 帰塁しなかった場合はアピールプレイになる。
を挿入したほうが理解しやすいと大賛成です。
是非、改訂されることを願います。

「Official Baseball Rulesは、アメリカで一般的に考えられる
出来事を前提とした書き方で、日本の野球規則は、主語や状況が
翻訳しないで省略している部分があったり、日本限定の解釈、その
中でもアマチュア限定の解釈があるので、そこは気をつけなさい」
という趣旨の事を昔の方に教えていただいたことを思い出しました。
最近では、隔たりが少なくなって来たと感じていましたが・・・
細かなところには、まだ残っているんですね。勉強になります。

9:おとうさん審判 :

2019/05/11 (Sat) 21:46:39

host:*.au-net.ne.jp
小川様

ありがとうございました。

確かに小川様の書き方だととても理解しやすいです。
野球規則もOfficial Baseball Rulesも読み込んだんですが、
どうしてもダメでした。

これで霧がスッキリ晴れました。
ありがとうございました。
別スレのアピールプレイでも引き続き勉強させてください。


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